子猫

私の自宅から最寄り駅までの道の途中に住みついている猫の話を、

以前にもエントリーで書いたことがある、最近は猫の群れ(?)も

数が4頭ほどになっていた。毎朝、そして帰りはときどき見かけ

る彼らのマイペースな姿を見ると、なぜかホッとしてしまう。

そんな彼らの1頭が母親になっていることに気づいたのが数週間前

のことになる。残念ながら、子猫の姿を見たのは数回ほどしかない

のだが、しばらくすれば猫の群れがもう1頭増える日も間近だと

思っていた。

そして数日前

いつものように出勤するために駅まで歩いていると、彼らはいつも

の場所でいつものように鎮座し、あくせく歩く人間たちを眺めて

いた。ただ、いつもと違ったのは、そんな彼らの前の狭い道路の

真ん中に、小さな何かが横たわっていたことだ。

それは、車に轢かれてつぶれかかっている子猫だった。(と思う)

私はその姿をとても直視することは出来ず、彼らの群れに目を向け

てみたのだが、そんな彼らはどこ吹く風の体で自然だった。

小さいヤツが、群れの仲間になる日を楽しみにしていたのだが、

儚い夢に終わってしまった。

彼らは子猫が死んでしまったことに、気づいているのだろうか?

知ることは、ときに残酷なことでもある。

気づいていないのなら、その方が幸せなのかな?とも思う。

そして今朝

いつものように駅に向かい、彼らが根城にしている場所に差し掛か

ったとき、それまではジ~っと人間たちを眺めていた猫の1頭が、

人も歩くし車も通る狭い道路を横切ろうと歩き始めた。

「ニャ~、ニャ~」

周囲の動きを全く気にすることもなく、一点を見つめながらだ。

まるで、何かを見たのか何かを探すかのように。

そう、その猫は子猫を亡くした母猫だった。

その姿に一瞥をくれて、私は駅への道を急いだ。

「ニャ~、ニャ~」

私が通り過ぎた後も、泣き声が聞こえた。

母猫は何をしたかったのか?

それを、私は知ることが出来なかった。

気づいていないのなら、その方が幸せだと思う・・・