自宅と駅の間に野良猫がたむろする場所がある。
そこは線路の高架下なので雨をしのぐことが出来る場所だ。
1年くらい前からそこで野良猫を見かけるようになった。
そう言えば、この猫たちに餌を与えているおばさんを何度か見たことがある。
子猫も含めると5匹以上いる気がする。
猫がいる場所は自転車置き場のすぐ脇にあたるところだ。
駅から100mくらいの場所なので朝は大勢の人が行き来する。
でも猫たちはすぐそばを人が通っても我関せずを装っている。
今朝も私の歩く道路から1mくらい横で、一匹の猫が瓢箪のような
後ろ姿で鎮座していた。これも最近では見慣れた風景となり、この姿を
見ると何故かホッとする自分がいる。
自分が歩いていた道路の反対側の端を何気なく見るとそこに何かがあった。
何だろうと思って見てみるとそれは薄汚れた黒いものだった。
その黒い物体は冷たいアスファルトの上に静かに横たわっていた。
側溝に落ちそうな場所で横たわっているそれは死んだ猫だった。
何匹かいる野良猫の一匹だろう。
駅に向かう人は誰も見向きもしない。
私も一瞥をくれただけだ。
そんな私に背中を見せる瓢箪もいつもと同じ姿だった。
「お前の友達死んじゃったよ」
瓢箪に向かって心の中で声をかけた。
歩きながら声をかけた。
私は駅に向かう歩みを止めなかった。